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The Materials of Guitars vol2 "Rosewood"(ローズウッド)

ローズウッドといっても「薔薇の木」のことではなくマメ科に属し、中南米、アジアアフリカ等熱帯~亜熱帯に産するこの種の樹木は数百にも及ぶそうです・・・独特の油脂分を含む種が多く、伐り出す時にバラの花のような芳香を放つことからこの名がついたようです。また加工時に皮膚が弱い人には皮膚炎(かぶれ等)を起こすものが多いことでも知られており、油脂分のために乾燥に非常に長い期間がかかり(製材して木材製品用に加工できるまでに数年~数十年を要するものがザラという)、接着にも難があること、比重が重く硬い材質なために加工性があまり良くないなどのデメリットがありながらもそれを超える魅力のある音質を持っているために特にギター用としては不動の人気を誇る唯一無二の材として君臨しています。全てのギターの指板材(ブリッジ材)として、アコースティック・ギターのボディ材(サイド・バック)やヘッドの付き板等に多用されるこの材の代表的な数種について今回取り上げてみようと思います。なお別名としてパリサンドル(Palisander)という名称が英語圏以外では使われていますが、私も紛らわしい「ローズウッド」よりこちらのほうが良いと思っています(木材王でもあるヤマハさんに賛同して・・・ヤマハはインド産[本]ローズはパリサンドル、インドネシア産[準]ローズはソノケリンと正式に区別している数少ない信頼のメーカー)。


前回のマホガニーの回と同じくウッド・フォーラムのサイトに良くまとまったローズウッドのpdfがありますのでまずこれにリンクさせていただきたいと思います!

http://www.wood-forum.jp/_userdata/b-rosewood.pdf

上記サイトでソノケリン(Sono Keling)のことをソノリケンとありますが、単純な間違いだと思われますので読み替えてください。また私の前回のマホガニーの記事でもソノケリンの和名を「手違い紫檀」と説明しましたが、正確には「手違い紫檀」とはチンチャン(Ching chan)のことで古くからある「唐木」の一種で、同じマメ科ではあるもののローズウッド(紫檀)とは全く別種の材であることをここで追記させて下さい・・・ソノケリンはインド・ローズ(熱帯産)を近年にインドネシア(亜熱帯)に移植・造林したものなのでそれほど古くからある樹木(自生)とは言えませんよね。ギター用としてチンチャンが使われた例は私は見たことがなく、おそらくそれほど多量に流通している木材でもないことからほとんど使用例はないと考えて差し支えないと思われます。

多種多様なローズウッドの分類にはやはり産地域ごとの分類がそれぞれの特色をつかみやすいと思われます。①が最も高価で入手困難な材、⑤が最も安価で容易に入手できる材という順番でほぼ間違いないと思います。

①中南米産(熱帯~亜熱帯)・・・ハカランダ(ブラジリアン・ローズ)、ホンジュラス・ローズウッド(ニュー・ハカランダ)、ボリビアン・ローズウッド(パーフェロー/モラド)、ココボロ等。ブラジル・バイア州のアマゾン川流域一帯に自生する熱帯雨林のマメ科一種をハカランダと言い、ワシントン条約で絶滅危惧種として厳しく取引規制されています。それ以外のブラジル産ローズはハカランダという名称ではなくパリサンドル(サントス・パリサンドル等)として少数流通していますが、造・植林のものも多いと思われます。ほとんど入手不可能なハカランダにかわる自生の希少材としてはホンジュラス・ローズやココボロが有名ですが現在では大変高価で貴重な材になっておりこの材のギターは入手困難です。またボリビアン・ローズ(パーフェロー/モラド)は指板材としても有名で、マッカーサー・エボニー(縞黒檀)などと並ぶ高級・高価な指板材です・・・過去にヤマハやKヤイリのボディ材でコーラル・ローズウッドという名称で使用されていた材はこれのことだと思われます。その他メキシコ産のローズなども含めて中南米ローズウッドと総称されますが、材の特徴は非常に木目が細かく複雑な模様を呈する固体が多いので、ほぼ真っ直ぐな木目のインド・ローズとは容易に識別できます。またより比重が大きく硬いためにより煌びやかで明るい音色、優れた遠達性(より広範囲にサウンドが響く性能)であるとされ、高級クラシック・ギターや高級オーダーメイド・アコギ、マスター・グレード・モデルや個人製作家ギターで使用されています。しかしながらあまり一般的な材とは言い難く、貴重な材故に柾目でなく板目での使用も見られることから当たり外れも大きいようで(見た目の美しさでは板目のほうが派手な木目で引き立つ場合もあるためか?)、果たして高価な値段に見合う価値のものか?という疑問が付く場合もありえると思われます(美しく貴重な装飾品=コレクターズ・アイテムとしてなら価値はあっても楽器としてみた場合は?・・・)。なおこれらの中南米産マメ科のローズウッドと同等の材としてカキノキ科のマッカーサー・エボニー(縞黒檀)やムラサキ科のジリコーテ(シャム柿)なども近年、高級ギター用として使用されるようになっています。参考までに私が所有するホンジュラス・ローズウッドとボリビアン・ローズウッドのギターの画像をあげておきます。

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②一部アフリカ産・・・マダガスカル(島)・ローズウッド等。一部のアフリカ産マメ科のローズ種の中には非常に中南米産に酷似したローズウッドがあるようで、値段の点でも性質・音質の点でも①に勝るとも劣らないとされています。当然、高級ギター用材なのでこの材のギターも①に準じて高価です。

③一部アジア産(主に熱帯)・・・(イースト)インディアン・ローズウッド(ボンベイ・ローズ/印度紫檀)等。南アジアに産する、所謂ギター用として正統なローズウッドのことで、造・植林によるものも含まれます。①ハカランダの代用材として広範囲に使用されてきましたが、現在では良質なものは入手困難になりつつあります・・・およそ国産ギターでは20万以上のギター、ギブソン・マーティン・ギルド・クラスで20~30万以上(相当質にバラつきあり)、テイラー・ラリビー・クラスで40~50万以上、それ以外の有名手工メーカー(コリングス、サンタ・クルーズ、ローデン等)で60万以上となっています。音質的にはマホガニーと人気を二分する材で、マホガニーが「柔らかく、温かく、広がり感のある」サウンドが特徴であるのに対して、ローズは「明るく、力強い大きな、透明感のある」サウンドが特徴です。私見ではマホガニーが3本中2本がアタリの個体ぐらいの確率で、比較的安定した音(品)質な材であるために安心して在庫から選びやすい(=良否の判断が簡単)のに対して、ローズは3本中1本がアタリなのが関の山ぐらいの確率なので、個体差が大きいのですが見た目(木目の良し悪し)だけではほとんど判断がつかないものなので、最低同じモデルを3本は試奏・比較して選ばないと危険だと思っています(逆に3本同じモデルを弾いてみればそのモデルの標準を知ることが出来て、場合によっては3本共選ばないという選択も可能)。・・・私は実際にこうしてアルバレツ・ヤイリのFYM-95を3本中から選んで納得して購入しました。ローズの高価なギターを買うのなら同じモデルを3店回ってでも最低3本は確認したほうが後悔しない可能性が高いということです。特に材(サウンド)に拘りがないのならマホガニーの方を私がすすめるのはこういう理由からです。同じく参考までに私が所有するこの材のギター画像をあげます。

Alvarez yairi FYM95 body-side.JPG
Alvarez yairi FYM95 body back.JPG
Headway HN-401 d.JPG
Headway HN-401 b.JPG

④アフリカ産・・・ウェンジ、パオロサ、ブビンガ、パドゥク、オバンコール等。ウェンジやパオロサは私にとって未知の材ですが、①②③と貴重になっているローズウッド種に類するマメ科の材の中でも今後に期待できる質を備えたアフリカ産材は多いと思われます。それぞれ他の産地のローズ種とは違う明確な個性を持っているものがこの産地には多いようです。前回詳述したアフリカ産マホガニー種(センダン科)と並んでアフリカ産ローズ種(マメ科)は未来への輝ける星(!)ともいえる優良木材の宝庫なので、是非とも無駄にすることなく造・植林を並行しながら大切に大切に活用していかれることを切に希望しております(その意味では楽器の値段はある程度高価な方が良いのかもしれない?)。ブビンガは高級ドラムのシェル(胴)材として有名で、近年和太鼓の材としても注目されている材です。ギター用としてはネックの一部(サンドイッチ構造の中心)材として使われている例があります・・・強度的に優れているのは確かなようですが、ボディ材として使えるほどの音響特性を持つものかは未知数だと思われます。パドゥクも同様にエレクトリック・ギターのネックの補強材として使用されることがあるようです。またアフリカン・ブラックウッドやスネーク・ウッドと呼ばれる他科の、ほぼ黒檀に類するような材も注目されているようです。以前から良くギターのボディ材として使用されてきた材でありながら、現在その音質の素晴らしさを再確認するように価値が高まっている材としてオバンコール(マメ科)があります。この材はテイラーやKヤイリ、ヤマハのギター材として名高い材です。以前は3ピース・バックの中心材として(両側はインド・ローズ・・・要するにインド・ローズを節約する目的で)、またインド・ローズの安価な代用材として細々使われる例が多かったのですが、現在ではマホガニーとローズウッドの両方の美点・美音質を兼ね備える材として珍重されるようになっています・・・確かにマメ科のローズ種でありながらマホガニーのような柔らかさや温か味のある音色を持つ両材の中間的音色の材で、ローズに近い美しい縞木目とメリハリのあるレスポンスの良いサウンドも持っているのでこの材のサウンドを好む人はかなり多いと思われます。特に現在はエレクトリック化がすすんでいるためにローズの美点であった遠達性はほとんど重視されなくなってきていますし、レコーディング用途ならむしろマホガニーの音色を好む人も多いので、その点でローズよりマホガニーに近いオバンコールが注目されるのは自然な流れといえるかもしれません。またローズよりは質が安定しているようで、この点でもよりマホガニーに近い、当たり外れの少ない材といえるようです。さらに現在でもこの材のギターはインド・ローズのギターよりも安く買えるので狙い目のギター材であるといえ、特にKヤイリ製のものは非常に質・音色が良いので気になる方はぜひ試奏してみることをおすすめします!!(ギルドGADシリーズ、テイラー300シリーズのアフリカン・マホガニー/サペリのギターと並んで私がおすすめする3大優良・安価なギターです)。

⑤アジア産(主に亜熱帯)・・・ソノケリン、タガヤサン(鉄刀木)、本紫檀(タイ産など)等。前回指摘したとおり、東南アジア産のローズ種はインド産のものよりグレードがおちるというのが一般的ですが、中には良質で希少なものもあります。しかしギター用としては高価な材を使用される例は少なく、安価で豊富な流通量のもの(主にソノケリンなど)を濃く着色して使用するような場合が多いことはあまり知られていません・・・普通にローズウッドと表記されているギター材の中にこれが占める割合はかなり高いと思われます。特に指板材として、また安価なギター(海外産ほぼ10万以下のギターなど)のサイド・バック材はまずこれだと思って間違いありません。しかし上記①②③がどんどん希少・高価になるにつれ、今後は東南アジア産の希少・高価な優良材もギター用として使用される例は増えていくと思われます。現に個人製作家(所謂、ルシアー)の高価なギターの中にはこういう材が多いことも確かです。様々な点からもアフリカ産ローズ種と共に東南アジア産ローズ種もギター用材としてこれから注目を集めていくことになると思いますが、これらに類するような他科の木材も含めて未知の木材がギター用として適性を吟味された上で使用されていくことになるのは必至のことと思われます。


ソリッド・エレクトリック・ギターのボディ材としてローズが使用された例は非常に少ないのはこの材が非常に重いためだと思われますが、現在軽い木材が主流になっているため(バスウッドのような)今後ともローズが(表面だけの張板)化粧板として以外のブロック材として使用されることはたぶんないと思われます。過去ローズがムクのブロック材として使用された例はフェンダーのテレキャスターが有名で、ビートルズ末期・解散直前(レット・イット・ビー録画時)の頃にジョージ・ハリソンのために製作されたスペシャル・カスタム・ギターがありますが、ワシントン条約発効前後だったこともあって贅沢にもハカランダが使用されていたそうです(しかもオール・ローズで、ネックも指板も)・・・レット・イット・ビー映画中にもこのギターをジョージがプレイする場面がありますよね! さぞかし重いギターだったことでしょう(肩の骨を脱臼しそうなw) ジョージはこのギターを第三者にあげたようですが、後に後悔して返してくれるよう頼んだそうですが、その人物はこれを断ってかなり後に(ほとぼりがさめた頃に)オークションに出して大金を得るよう目論んだそうですが、それを知ったジョージがこれを買い戻したそうで結局本来の持ち主の元に戻ることになって「めでたし、めでたし」みたいな・・・! そんないわくつきのギターだったのでした。その他このフェンダーのコピー・モデルとしてジャパンのインド・ローズ材のオール・ローズ・テレがありましたが、これは私も過去試奏したことがありましたが非常にファットでロング・サスティーンのギターでテレのサウンドというよりはギブソン系ギターのようなサウンドが印象的だったことをおぼえています・・・すでにこのギターも中古市場でプレミアがついて取引される高価なギターになっているそうで、「こんなことならあん時買っとけば良かった」と今さらながら思ったりしています。てかあの想像を絶する重さは自分で弾くことを考えると真っ青になるほどでしたが・・・レスポールよりもはるかに重いんですよ(笑) 現在ジャパンから復刻されているこれのまたコピー・ギターは張りローズみたいで、中身は軽い木材みたいです。てかそれじゃ意味ない気もするんですが、値段も安くはないんでやはりあんまし人気ないみたいですね・・・なんか皮肉な感じですよね、軽いローズ・テレはらしくないなんて(笑) いずれにしてもこれらのことからローズウッドという材がいかに魅力的な木材であるかを知ることができるような気がします!


タグ:ギター 木材
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インターバル(音程間)をよむ・・・作曲とインプロビゼーション

何とも壮大なタイトルで(笑) これが簡単にできるのなら誰も苦労することなんてないのですが、作曲と即興演奏(即興で作曲しながら演奏=インプロビゼーション)の上で役立つ理論・知識をまとめてみたいと思います。

とりあえず自分がこれ、この人と思うプレーヤー、コンポーザーの演奏や作品を徹底的に耳コピーすることが自己作品や演奏の質の向上には最も早道だと思いますが、後付でもいいので理論的な後ろ盾があればなおのこと良く理解できて確実にそれを意図的に再現できるようになるために(偶然ではなく)、また作曲(譜面上でもMIDIでも)という場面でこれを利用するためにも理論的展開は必要だと感じます。私がギターの即興演奏で最も影響を受けたのはパット・マルティーノとジム・ホールという2人のジャズ・ギタリストですが、前者の流麗で自由自在なスケール・ワークと高速フレーズに、後者にはほとんど天才的ともいえるメロディ・ライン/コード・ワークの展開や「ハッ」とさせるような(霊感にあふれた)閃きに非常に深い感銘を受けてのことでした・・・とはいってもまだまだ彼らの足元にも及びませんが、彼ら自身が自己のプレイ・作品を構築する上でもやはり理論的なバックボーンがあってこそ成り立っていることを考えればこれを解析することで彼らの辿った道筋をまた辿ることも可能になるのでは?と考えています。


パット・マルティーノには独自の経験に基づくアドリブ方法論である、「マイナー・コンバージョン」という独自理論がありますが、これはコードからそれに協和するスケールを導き出す理論の一種で、全てのコードをいったんマイナーに変換し、そのコードに協和するマイナー・スケール系のスケールでアドリブするというものです。考え方の基本は、ある長調の平行調の短調はスケール構成音が同じであるところからそのマイナー・スケールをメジャー・コード上で使うというところからきていますが、これはロックで多用されるペンタトニック・ブルース・スケール(5音階/Ⅰ・Ⅲ♭・Ⅳ・Ⅴ・Ⅶ♭)が例えばAペンタトニック・スケールがAmでもCmajでも使えることをもっと発展させたものと考えることも可能です。いくつかの変換法則があり、例えばメジャー・コードの場合は6度(3度下)のマイナー(ex,Cmaj→Am)、ドミナント・コードの場合は5度(4度下)のマイナー(ex,C7→Gm)、ハーフ・ディミニッシュ・コードの場合は短3度のマイナー(ex,Cm7♭5→E♭m)のようになります。しかしながら実際にはこの理論のスケール上の音だけでアドリブが構成されているというわけではなく、ケースバイケースでブルーノートや多種のパッシング・ノート(途中経過音)が挿入されていることは言うまでもないんで、この理論はあくまでも簡単なアドリブ方法の一つの「目安」と考えたほうが妥当で、パット・マルティーノのインプロビゼーションの全貌をこれだけで知ることは到底できるわけではなくやはりフレーズをコピーしてそのノウハウを得るしかないとそう思われます・・・その意味では後述するアバイラブル・ノート・スケール理論(バークリー・メソッド)やリディアン・クロマティック・コンセプト(LCC)のほうがもっと体系的に構築された総合的な理論ということができるのではないかと思います。


アバイラブル・ノート・スケール(バークリー・メソッド)とは特に現代のジャズ・インプロビゼーションの体系的な理論(方法論)として構築されたものですが、古代の教会旋法(チャーチ・モード/グレゴリアン・モード)から派生した7つの音階を基本に、その他それ以外の数種の音階(=スケール)を網羅してアドリブを構築する方法論と考えて差し支えないと思います。これらのスケールから構築されるコード・プログレッションも当然含まれます。

①Cイオニアン・スケール     CDEFGABC' - 全全半全全全半

②Dドリアン・スケール         DEFGABCD' - 全半全全全半全

③Eフリジアン・スケール       EFGABCDE' - 半全全全半全全

④Fリディアン・スケール        FGABCDEF' - 全全全半全全半

⑤Gミクソリディアン・スケール GABCDEFG' - 全全半全全半全

⑥Aエオリアン・スケール      ABCDEFGA' - 全半全全半全全

⑦Bロクリアン・スケール       BCDEFGAB' - 半全全半全全全

全(音)・半(音)とは各音階間のインターバルを表し、全は長、半は短と読み替えることもできます。①はメジャー・スケール(長音階)、⑥は(ナチュラル)マイナー・スケール(=自然的短音階)のことです・・・したがって以下の2つの派生スケールがあります

⑥’Aハーモニック・マイナー・スケール(和声的短音階)ABCDEFG♯A' - 全半全全半増半

⑥’’Aメロディック・マイナー・スケール(旋律的短音階)ABCDEF(♯)G(♯)A' - 全半全全全全半

⑥’’は一般的に上行がF♯G♯、下行がGFとされていますが、実際には和音がドミナントの場合半音上げ、サブドミナントの場合半音上げなしというように和音構成音によることが多いです。増とは全+半、つまり増二度を表します。これら以外に以下の音階やブルーノート/スケール(広義にはⅢ♭Ⅴ♭Ⅶ♭をメジャー・スケールに加えたフル・ブルース・スケール、狭義には♭5のこと)、パッシング・ノート(クロマティック・スケール=全ての半音を含む12音階など)を含みます。

※ホールトーン・スケール                     - 全全全全全全全

※ディミニッシュ・スケール                    - 全半全半全半全

※コンビネーション・ディミニッシュ・スケール - 半全半全半全半

以下に基音をCとした場合の各スケールのインターバルを実音で表記します。

①Cイオニアン・スケール                      CDEFGABC'

②Cドリアン・スケール                         CDE♭FGAB♭C'

③Cフリジアン・スケール                       CD♭E♭FGA♭B♭C'

④Cリディアン・スケール                       CDEF♯GABC'

⑤Cミクソリディアン・スケール                 CDEFGAB♭C'

⑥Cエオリアン・スケール                      CDE♭FGA♭B♭C'

⑦Cロクリアン・スケール                       CD♭E♭FG♭A♭B♭C'

⑥’Cハーモニック・マイナー・スケール     CDE♭FGA♭BC'

⑥’’Cメロディック・マイナー・スケール      CDE♭FGABC

※Cホールトーン・スケール                     CDEF♯G♯A♯C'

※Cディミニッシュ・スケール                    CDE♭FG♭A♭ABC'

※Cコンビネーション・ディミニッシュ・スケール CD♭E♭EF♯GAB♭C'

※Cフル・ブルース・スケール           CDE♭(E)FG♭(G)AB♭(B)C'

ここまでスケールを列挙してきましたが、では実際にどういうコードの場合にどのスケールが使えるか?という法則についてはそのコードの構成音を調べてその全てのノートと一致する構成音を持つスケールを選択することになります。例えばCmaj7の場合構成音はCEGBなのでCイオニアン・スケールかCリディアン・スケールが最も協和するスケールということになります。同じようにDm7だとDFACなのでDドリアン・スケールかDエオリアン・スケール、G7だとGBDFなのでGミクソリディアン・スケールというようになります・・・因みにCイオニアン、Dドリアン、Gミクソリディアンは全て構成音が共通なのでC→Dm7→G7というコード・プログレッションの場合、実質Cイオニアン一発でアドリブができるということに他なりません・・・とこのように書いてくると簡単なようですが、実際即興演奏で瞬時にコードの構成音を把握して使えるスケールを選び出すためには様々なコード・プログレッションの曲を相当量練習していなければ到底できることではありません。また協和するスケールのラインだけで実際にアドリブを構成するとワンパターンで退屈なものになる危険性があるので、適度にテンション・ノートを含んでイン・ゴーイングかアウト・ゴーイングに展開するようなソロのほうが面白くて聴き応えがあるものだと思います。そういう意味からもこのアバイラブル・ノート・スケールを実地で使いこなすのはかなり困難で大変なことなので、私の場合曲をアナライズするためには利用しますが実際にコードが移りかわる度に、やれイオニアンだの、やれリディアンだの考えているわけではありません(笑)それが出来るに超した事はないのですがムリなので、これから説明するリディアン・クロマチック・コンセプトの考え方のほうがまだ理解し易く、応用しやすいものだと思います。


 

リディアン・クロマティック・コンセプト(LCC)についてはhttp://homepage2.nifty.com/dangozaka/netjltop.htm特にhttp://homepage2.nifty.com/dangozaka/njthatten.htmhttp://homepage2.nifty.com/dangozaka/netjazztime/LCC/index.htmまたhttp://www.chromatic-metal.com/lydian.htmlhttp://www.tanoshiro.com/tanoism/tanoism1.htmlに良くまとまった記事があるのでそちらを参照していただくとして、ここではその基本と応用法について書いてみたいと思います。

インプロビゼーションの基本となるスケールに上段で述べた④リディアン・スケールとその派生型を利用して全てのアドリブを構成しようというもので、以下の7スケールがあります(Cを基音とした例)。

①リディアン・スケール          CDEF♯GABC' - 全全全半全全半

②リディアン・オーギュメント・スケール CDEF♯G♯ABC' - 全全全全半全半

③リディアン・ディミニッシュド・スケール CDE♭F♯GABC' - 全半増半全全半

④リディアン・フラットセブンス・スケール CDEF♯GAB♭C' - 全全全半全半全

※リディアン・補助オーギュメント・スケール(=ホールトーン・スケール) 以下上段参照

※リディアン・補助ディミニッシュド・スケール(=ディミニッシュ・スケール)

※リディアン・補助ディミニッシュド・ブルース・スケール(=コンビネーション・ディミニッシュ・スケール)

以上7スケールの構成音を解析すると、12の半音を全て含むクロマティック構成になるのでこれらをリディアン・クロマティック・スケールと呼びます。それぞれのスケールは①の代理として使用可能ですが、以下の理由により番号があがるほどテンション・ノートが増えていくアウトなスケールになっていきます。

350px-Godoken.png

5度圏 - Wikipediaより

Cのサークル・オブ・フィフス(5度圏=倍音列)を順に並べるとCGDAEB][G♭D♭A♭E♭B♭Fとなりますが←]を♯域、[→を♭域にわけることができ、この順番でCに対して協和度(親和性)が低くなっていくと考えられています・・・しかし実際にはCに対して半音上のD♭が最もテンションが高い不協和な音になると思われるので、D♭はFのあとにくると読み替えるのが妥当であるといえます。またこれらの理由でCイオニアン・スケール(F)よりもCリディアン・スケール(F♯=G♭)のほうがCmajに対して協和度(親和性)が高いと見ることができます。

最後にこのLCCの応用方法ですが、基本的には上段アバイラブル・ノート・スケールと同じと考えて良いと思います。しかし大きく違う優れた利点は全てのコードに対して必ず協和する(C~B)リディアン・スケールが存在することであり、基本的にこの音階さえ覚えてしまえば全てのコードに対してアドリブが可能になるという非常にシンプルな理論である点であり、特にギターなどの楽器ではポジションで習得する点を利用して、殊更音名を意識していなくてもフレット移動によって同じ「型」で異調(C~B)することが可能なので非常に有用な理論となることだと思います。そのことによって煩雑なアバイラブル・ノート・スケールの①~⑦に相当する部分を一つに統合することができるので、あとはケースバイケースでLCCの②~④の派生系を応用すること、※の3スケールの応用方法に段階的に集中していけば良いので他の理論よりバリエーションを習得するのは楽で素晴らしい実利を持つものであることは間違いありません・・・そういった点が多くのジャズの巨匠に認められて利用されてきた理論な所以であるように思います。さらに1.イン・ゴーイング・バーティカル 2.アウト・ゴーイング・バーティカル 3.イン・ゴーイング・ホリゾンタル 4.アウト・ゴーイング・ホリゾンタル という4つの考え方を持っており、バーティカルというのは縦軸(コードの積層)のことで現在地点をあらわし、ホリゾンタルというのは横軸(時間の推移)のことで曲全体・一定の部分をあらわしているようです・・・つまり1で小節内で解決するようなこと、2で離反するようなこと、3で曲のキーになるようなこと・一定の小節で解決するようなことや、4で離反する過程を規定するような方法論だと思われます・・・こういう考え方はアドリブ・フレーズにメリハリ(緩急、明暗、冷暖等)を与えてカラフルで面白いものにすることを模索する上で、また例えばテンポによっては16分音符以上の細かく早い音価の動きならクロマティックなフレーズでもアウトな部分が特に気になることなくスムーズにコードと調和するようにフレージングできるようなことに有効に作用すると思います。高度にこの理論を応用するのはやはり困難には違いないですが、習熟するにつれて徐々にその真価を発揮する価値あるものだと思います!!


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音楽 第4の道へ part2 [Demoあり]

Demo20.JPG
先月の同名タイトルの記事の続編、実践編です。「MIDIで課題曲を打ち込みしてみよう!!」という趣旨でしたが、選択した課題曲に問題があったためか結構手間取ってしまいました・・・まずはその辺の経緯からいってみましょう。
課題曲として選んだのは1400年頃の作曲者不詳の曲で、著作権の問題も無くしかも3声ポリフォニーというアンサンブルを創るのに絶好の素材ですが、いささか古すぎて音楽様式や楽譜解釈の上で問題がありました(笑) せめてJ.S.バッハ以降の曲にしたほうが良かったかな?と思ってしまいましたが、ここら辺の時代の音楽は現代の音楽の基礎を理解する上でも、「古きを知って、新らしきを知る」上でも重要なので選んだわけなんですが・・・何にしろバッハの時代には既に音楽は非常に高度に発達していたので、理論的にも技術的にも再現するのは非常に困難なものになっていましたので。なぜこの時代の音楽が重要か?というのは所謂、機能和声法という「縛り」がまだ無い頃の音楽なので現代の即興音楽・演奏の可能性に直結する自由度を有しているし、「右手がメロディで、左手が伴奏(和音)」「歌手が主旋律で、バックバンドがハーモニー/リズム」と考える現代の私たちの頭には非常に新鮮なものだし、楽譜に書かれた学問的な音楽としてではなく「歌い」「踊り」体感する音楽としてこの時代には伝承されてきたものだからなんです。ルネッサンス期以降の音楽を習得するのは並大抵のことではないですが、この頃の音楽なら最先端、最高に高度なものでもこんなに平易でわかりやすいのに現代の音楽にはない自由もここにはあるんですね! 3声ポリフォニーというのはそれぞれが独立した旋律をもつ声部の集合体なので主旋律と2つの副旋律という区別はあっても旋律対伴奏という分け方は適当ではありませんが、所謂和音(コード)を構成するために最小限必要な同時に響く3つの音を持っているので、「どこを切っても金太郎飴」的に(笑)全ての断面にコード・ネームをつけることが出来ます。この和音の移り行きが和声なのですが、音楽で最も難しい理論は非常に多くの声部が複雑な和音を構成しながら移り行く状態を把握すること、またそれらが複雑なリズムを醸成する場合ですが、それらの基本を最小構成の3声で学ぶ(楽しむ?)ことができる意義はとても大きいと思います。前回指摘したようにこの頃の楽譜そのものも結構いい加減なものなので(笑)ほとんどどの様にも解釈できるし、どのように表現するかは解釈者次第という側面があるので逆に難しかったのでした。
この曲を再現するにあたって発生した問題は2点あって、それは調性とチューニングの問題ですが、楽譜(現代翻訳譜)をみればわかるとおりこの曲は時代的に調性というものを持っていません・・・教会旋法(グレゴリアン・モード)のドリアン・モードで書かれていますが=ニ短調(Dm)ではなく、和声的必要性に応じて適時Bに♭をつけるというものですが、例えば同じドリアン・モードの曲の「グリーンスリーブス」とは違って半音が私にはどうもしっくりこないのです。つまり主旋律のB♭が非常に不安定で不安な感じがして「これは半音下げが絶対必然ではないかも?」と思えてしまうのです。しかしだからといって副旋律だけ楽譜どおりだと齟齬が発生するので副旋律も変えなければなりませんが、これは(作者不詳だからいうけど)できそこないではないか?(笑) ってことで、主旋律のメロディ・ライン的にはB♭は要求されていないと思うんですよね~ つまりこれは副旋律のライン取りが悪いせいでこうなったのではないか? とも思うわけです。まあいずれにしろ楽譜どおりではなく私が感じるままにもちろん変えさせてもらいましたが。あと一つ、楽譜どおりだとDで再現するべきですがA=440Hzだと当時のピッチからすると低すぎるためか、E♭で演奏している団体が結構多いです。下記に紹介する今回の創作で参考にしたCDもE♭で演奏されているし(この演奏は半音でないし!)、比較的時代考証のしっかりしている古楽団体はE♭で演奏することが多いみたいなので私もそれに倣いました。音楽的にもDmは少し泥臭い調性で私は嫌いなのでE♭mのほうが良いかと(笑) まあ楽譜どおりでないと頭のなかでトランスポーズしながらの打ち込みは結構大変で混乱しがちになるんですけど、勉強にもなるんでチューニングそのものをトランスポーズするんじゃなくてE♭で打ち込みしました。
とまあこんな具合で簡単にはいきませんでしたが、なにより楽譜に頼りすぎることなく自らの感覚も大切にしながらということで、メインには参考CDを耳で聴いて音をひろう訓練を重視しつつ、楽譜はあくまで確認用に使いました。何といっても音楽は耳で聴くものですからね!!

NAXOS 8.554256.jpg
参考にしたCDはナクソス・レーベルなんで¥1200ぐらいで1枚買えちゃうんですけど、このアンサンブル・ユニコーンという古楽演奏団体はとても良い演奏に定評があるんでぜひおすすめしたいです!ちなみにナクソスのサイトでゲスト・ログインすると15分(?)自由に試聴できるんでアドレスをリンクしておきます。http://ml.naxos.jp/album/8.554256
前回書いたMIDI打ち込みのポイントを簡単にここで復習します。
①音楽的な音源を使用して貧弱で機械的なサウンドにならないようにする
②楽譜どおりに機械的に打ち込むのではなく自由で演奏的な歌いまわしに気を配る
③ジャストで機械的な縦割りタイミングを避ける(闇雲なクオンタイズは危険)
今回は課題曲が古楽なのでとりあえずそれらしい音源を使うことにしましたが、素朴なエスニック楽器系のサンプリング楽器音は使えると思いました。タンクたんはこういうあまりポピュラーではない楽器音も大量に収録されているのでやはり使える音源だと思います! まず中心になる主伴奏楽器はハープ(小型)、リュートなどの撥弦楽器(弦をハジク楽器)ですが、これだけで複数の声部をカバーすることができるので曲全体を通奏するメインとして考えました。タンクたんにある中国系の琴の音をEQ調整するとリュートのようなサウンドが得られたのでこれを使いました(上段の画像をクリックして参照)。次に副旋律を伴奏する楽器音はバイオリン属などの弓で弦を擦って発音する楽器が相応しいと思いましたが、古楽器のバイオリン属は現代の楽器に比べて弦のテンションが弱い(ガット弦な)ためにくすんで鄙びたあまりハリのない音色が望ましく、ノン・ビブラート奏法の音色が好ましいですがこれに近いものがミロ・フィルのビオラにありましたのでこれを使いました。次に主旋律をアドリブするソロ楽器はやはり笛等のウッド・ウインドが花型ですが、これはタンクたんにとても良い音色が多数そろっています! 最後に最も重要な主旋律を歌う音色はやはり人の声以外には考えられませんが、タンクたんのボイス・メニューにはそこそこ使える不自然じゃない歌唱(ハミング)のサンプルが結構あるのでこれを使いました(すくなくとも他のボカロとかよりはまともかも?)歌詞を歌うことはできないし、表現力に不満もありますがまあそこは妥協の範囲ということで・・・。②については上段でも述べたとおり楽譜を再現することよりも音楽的な表現になるようにすることを重視しましたが、その他にも最後まで聴き飽きしない見せ場というか、聴かせどころを随所に創ることを目指しました・・・思いっきりCDを参考にしてますが、このシンプルな曲をどう演出するか?曲の構成力とアレンジが重要だと思いますがそういう意味でもこのCDは素晴らしいし、曲自体も様々な料理法を試したくなる良い素材のようにレアで良い選択だったと改めて思いました。③についてはあからさまなテンポ変動やタイミングずらしは曲の性格上今回は行ってないですが、選択した音源そのものが発音タイミングに微妙なピークのずれ(バイオリン属はやはり普通にレガートに演奏した場合は発音レスポンスが他より後ろにくることなど)があることもあるのであまり縦割りタイミングを意識しなくてもそれなりにランダムな感覚が表現できていると思います。
作業を終えた感想は、やはり耳コピーは非常に良い音楽の訓練になるということに尽きます。好き勝手に自己流音楽を追求するのも楽しくて楽には違いないのですが、音楽の表現力を向上させるためには他人の作品(著作物)を研究すること以外に道は無いように思います。そういう点でもMIDIで人の作品を打ち込みするのはとても有意義なことだと思いますし、今回選んだ課題曲の背景は自分の音楽創作に必要なさまざまなリソースをふんだんに含むものだったと感慨深いものがありました・・・「たかが12音、されど12音」って感じでしょうか?

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The Materials of Guitars vol1 "Mahogany"(マホガニー)

今回よりギターに使用される各種木材について私の知り得た情報等を元にエッセイ風に綴る記事を不定期ながらシリーズで続けていきたいと思います。

第一回目として最も各種ギター(クラシック・ギター、スティール弦アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター等)に汎用される木材をと考えましたが、順当にマホガニー、ローズウッド、メイプル等という順番が相応しいだろうということで選んでみました。ネック材として、またボディ材として最も多用されるのがマホガニーですが、ローズはエレクトリックでは指板材としては使われても重量が重過ぎるためボディ材として使用された例は稀ですし、メイプルはクラシック・ギターの材料として使用される例は稀です。しかし(ギタリストにとって)あまりにも身近なためか、またはローズやメイプルほどの派手で美しい木目を持たないためか地味な印象を持たれがちであまり話題にのぼる事もなく、したがって多用される割にはその材についての知識が一般的ではないように感じられます。これはギター用木材としても唯一無二のオールラウンダーであり、類稀な優良音響特性を持つ稀有な木材であるマホガニーにとって残念なことだと思いますし、現在その原料木材価格が高騰して凡そ20万円以下のギターでは良質なものがなかなか見出せなくなりつつあるローズやメイプルと比較してまだ現在でも安価なギターで良質なものが入手しやすい材料である点も見逃せない点です・・・60年代末期をもってワシントン条約でその輸出入を規制されたハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)は70年代には市場で(ギターとして)みる機会は激減しましたが、その代用材であるインド産本紫檀(インド・ローズウッド)はこれも成長が非常に遅い木材である点で有名で、植林しても追いつかない莫大な需要のために既に枯渇してきており、ギター・メーカーでは新規に材料として購入するのが難しい状況なほど原料高騰しているので在庫のこの材を使った(特に単板で)ギターを値上げしつつ他の材に徐々に切り替える方策をとっているところがほとんどです。詳しくはローズウッドの回で詳述しますが、以上のこともあって現在安価なギターでローズウッドとして表示されているものの中には所謂、本ローズ(インド産)ではない、「手違い紫檀」といわれるインドネシア等東南アジア産のローズウッド=ソノケリン等がほとんどではないか?と思われます。ソノケリンはインド・ローズを植林したものなので確かにローズウッドとの表記は間違いではないのですが、気候の違いから早く成長する性質に種が変化してしまっているそうで、そのためインド・ローズに比べて木目が粗く雑な二流品とされています。多くはこれを着色して指板材やブリッジ、アコギのサイド・バックの合板の材料などに使用されているようですが、メーカーによってはこれを濃く着色してインド・ローズに見せかけて単板としてボディに使用する例もあるようなので注意が必要です。もちろん全てが粗悪材とはいえませんが、昨今ローズウッド使用ギターの著しい音質の低下が取り沙汰されることが多くなった原因(このために現在40万の新品より20万で7~80年代の中古を買うほうが良い場合があるという意見も多い)がこのことと無関係ではなく、本来ギター・ボディ用としては使用されなかったような質の悪い板目(=柾目でない)インド・ローズと共に問題の種になっているようです。後述しますがローズウッドの場合と同じくマホガニーも厳密には本マホガニーと呼べるのは中南米原産の3種のみなんですが、90年代初期にやはりワシントン条約に絶滅危惧種としてあげられてからその流通が激減して、現在はそれ以前のデッド・ストックか?出所の怪しい不確かなものか(おそらく密輸か)?のどちらかがレア材として非常に高価な値段で少数取引されていますが、幸いなことにギター用としては本マホガニーに勝るとも劣らない良質のアフリカ産代用材がまだ比較的安定的に流通している段階です・・・しかしギター用優良材がことごとく不足する事態になっている現在、この状況がいつまで続くかは不透明で、その根拠としてアフリカの一部の産地のマホガニー類が需要を見越した業者によって買占めされたために原料価格急高騰が一時的に起こったり、東南アジア産の類似材(とはいってもマホガニー類、センダン科ですらないラワン=メランティに近いような種)がマホガニーと呼ばれて市場に出てきたりして混乱がすでに起こっています。おそらく現在のように優良なアフリカ産マホガニー類(センダン科)のギターが20万以下で手に入るのもここ数年の間だけになりそうな気配が濃厚なので、新品・安価で優良材のギターを手に入れたい方はこの後段の記事を熟読していただいて出来るだけ早期にアフリカ産マホガニー類のギターを入手されることをおすすめします! たぶん10年もの後にはバイオリン属のように100万円(という単位)以上出さないとまともなものは入手できない(木材製のものは)という時代になる可能性も否定できません。


マホガニーについて良くまとめられた情報をみつけたのでまずこれを参照してみてください。

http://www.wood-forum.jp/_userdata/mahogany.pdf

ウォールナット、チークと並んで世界三大銘木とされているのは、加工性の良さと乾燥後・製品の安定度の高さゆえだと思われますが、西欧では高価なものの代表として銀食器と並んで引き合いに出されることが多いのがマホガニーの家具だったりしますが、見た目それほど豪華な木目・風合ではないことが日本人なら少し違和感をおぼえる点ではないでしょうかね?(色は独特だが・・・) 前項でふれたとおり本マホガニーといえるのはセンダン科マホガニー属(Swietenia)の3種(中南米原産)①キューバ(スペイン)マホガニー/S.mahogani(L.)Jacq.②ホンジュラス(オオバ)マホガニー/S.macrophylla King③メキシコ・マホガニー/S.humilis Zucc.で、産地としてはブラジルなども含まれます。しかし前述のとおり90年代以降一般的に流通しているのはアフリカ産のものであり、単にマホガニーといった場合はほとんどこれを指すと思って間違いありません。中南米産を指すものはホンジュラス・マホガニーという名称が一般的で、その他トロピカル・アメリカンだのとかの紛らわしいものも幾つかあります(笑)・・・ホンジュラス以外の中南米産ということでしょうかね?

今回ここで言及するアフリカ産マホガニーは広義にはアフリカン・マホガニーと呼ばれますが、狭義にアフリカン・マホガニーという名称の種類もあってやはりややこしく混乱しています(笑)。その他サペリ(マホガニー)、ガボン(マホガニー)、マコレ(チェリー・マホガニー)等が楽器用として有名で、特にテイラーのギター材として名高いサペリは前項で述べたとおり買占めにあったりして原料価格が乱高下したいわくつきの木材ですが、ギター用としてモノによっては本マホガニーを凌ぐ良い音質との評価があるほどの良材・個体が存在することで知られています。またガボン・マホガニーもKヤイリが採用していることで有名で、同じく素晴らしい音質のオーダーメイド・ギター用として知られています。その他単にマホガニーとしか表示されないこれらの中の種類も多いのですが、アフリカ産の特徴として柾目で非常に美しい「リボン杢」とよばれる木目があらわれるものが多く、これが規則的に出た個体は特に高価な値が付くようです(ピアノの外装用化粧板などにも使用される)。塗装後の豪華な美しさはインド・ローズウッドにも匹敵する独特な風合を持つので中南米産の単調で特徴のない木目より意匠的に好まれる場合があることも頷けます。以下に私の所有するGuildギターのアフリカ産マホガニーのリボン杢材の画像をあげておきます。

Guild GAD-212 02.jpg
GUILD GAD-F212 back.JPG

次に最も重要なギターの音色としてのマホガニーについて言及していきたいと思います。
1800年代から1900年代初頭にわたって(クラシック)ギターのボディ材が現在のようにほぼローズウッドのみではなかったことがあったようです・・・当時メイプルやマホガニーを使用したギターがありましたが、チェンバロがフォルテ・ピアノに取って代わられたのと同じ理由、つまり音質に問題があった訳ではなく音量の乏しさが問題でローズウッド・ボディのギターに集約されていったことが考えられます。当然電気的に音量を増幅する手段はこの時代にはなかったのにもかかわらずコンサート・ホールは数百人から千人以上も収容できる施設へと大容量化していたので、ホールの隅々にまで届く大音量のギターは遠達性のある音響のローズウッド材でしか実現できなかったためにそれぞれに魅力のある音質を持つ他材のギターが廃れていってしまったとしか他にその理由が考えられません・・・そのことを裏付けるように鉄弦化や電気化が進んできたために様々な固有の音色を持つ材のアコースティック・ギターやエレクトリック・ギターが造られるようになったことは当然の流れだったと思います。ただし、ことアコースティック・ギターに関してはローズウッド材のものが最も音質が良いという偏りはこの歴史上の流れを色濃く受け継いでいるために残っている偏見かもしれません。また現在ではローズウッドが最も高価なギター材であることも一因だと考えられます・・・人は値段が高いほど良い音の楽器、美味しいワインというふうに考えがちなものなので。確かにローズウッド材のギターは音量が豊かで、芯が強い音質の明瞭なサウンドのギターが多いのも事実ですが、高音域の鋭いキレやシャープな質感はメイプルには及ばないし、甘い柔らかさやコーラス・エフェクトをかけた様なサウンドの広がり感はマホガニーにはかないません。要するにどれが最も良い音質であると思うかは個人的な好みによるものであって一概には判断できないことだと思います。私の感覚で言わせてもらえるなら、自分で弾いてて最も良いサウンドだと感じるのがマホガニー材のギターで、人が弾いてるのを少し離れて聴いて最も良いサウンドだと感じるのがローズウッド材のギターです。メイプル材のサウンドはエレクトリックを通すなら適度な柔らかさが加わりつつも、張りがあって非常に良いと感じます。ソリッド・エレクトリック・ギターならマホガニー単体のものやメイプル・マホガニー・ラミネートのもの(レスポールのような)が最も好きなサウンドのギターだと思います。またアコギでスモール・ボディならローズウッドが良いと思いますし(メイプルでは低音が出ないし、マホガニーではコロンとしたスモールボディ特有の質感のサウンドが強調されるので音質が円すぎるように感じる)、ドレッド・ノートやスモール・ジャンボ以上の容積があるボディならマホガニーが良いと思います(自分が弾いてて良い音に感じる距離感のギターは録音するのにも最適なサウンドだと思う)。以上のことから総合的に最も広い汎用性を持ち、どんなギターでもほとんど納得のサウンドが得られるギター材はマホガニーをおいては他に無いと断定できるように思います。
最後に世界有数のギター・メーカーであるカナダのラリビーの創業者で、超優秀なギター・ビルダーであるJ・ラリビー氏の80年代(?)のレポートに「自分のための良く鳴るギターを1本製作するなら、私は迷わずマホガニーをボディ材に使う」という趣旨の非常に内容に説得力のある文章に触れて以降私はマホガニーの真価に開眼し、それ以来率先してマホガニーのギターを試奏するようになったことをここに付け加えておかなければと思います・・・多くのギター・ビルダーは利益のために材料単価の高い、希少価値のある木材を使いたがるものだと思いますが、はたしてそれが最良のサウンドを生むものと本当に感じての結果かどうかには疑問があるということです。そのことを正直に語ったラリビー氏の過去の楽器は本当に素晴らしいギターでした。特にマホガニー材のラリビー・ボディのギターは他に並ぶもののない最高の音質のギターだったことを実に鮮明に記憶に留めています。

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Ibanez SS500VLS part3 [Demoあり]

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今回はIbanez SS500VLSの3回目のデモ記事として、いよいよエレクトリック編を公開しようと思います。前2回は、アコギとしてはまだ鳴りがイマイチなもののとりあえずピック・ギター(アコースティック・ギター)としても使えるモデルだということを紹介するための記事でしたが、本来エレキ・ギターなんで本領を発揮できるのはやはりエレクトリックで使った場合だということは言うまでもありません。
昨年5月にこのギターを手に入れて記事にしてから、このブログ中の画像の中で最も検索されているのが実はこのギターのものなんですよ! というのはこのアイバニーズのハコ物ギター・シリーズのアートコア・シリーズの中では最も最近発売されたモデルなんでたぶん他に情報が少ないこともあるとは思いますが(実際私が購入を検討していた時に参照できたこのギターに関する情報も非常に少数だった)、削り出し単板材使用のフル・アコというギター自体の特殊性もあって、おそらく興味を持つ人も限られるのでそれほど広く流通しているギターではないためだと思います。まあギターの性質上、大量生産できるものではないし、採算が合うかどうか微妙なものなのにアイバニーズがこのギターの生産にゴー・サインを出したのは商売度外視というか、多分にプライドを満足させるためだったりするんじゃないか?(笑)と思います・・・なんといっても現在これほど多種大量のハコものエレキを販売しているメーカーは他になく(あのギブソンですら)ほとんど愛馬の独壇場になってたりするんで(笑)。もともとギブソンでいえばES-175(合板ボディ材ギター)あたりに対抗するためにジョージ・ベンソン・モデルを、ES-335(同)に対してジョン・スコフィールド・モデルを出していましたが、ここらへんのギターが国内外で高く評価されて結構売れたみたいで、それ以来「ハコものに勝機あり!!」とみたらしくて常道を外しはじめたみたいですね~(笑) しかしまあ偉いと思いますよ。「いったんやりはじめたからには徹底して」という使命感みたいなものがあるのを感じますね~! それこそ数万円の廉価モデルからそこそこ高級な単板モデルまで取り揃えているのはやはり愛馬だけなんですよね。ギブソンなんか削り出し単板モデルは百万円以上するんですけど誰がそんなの買えるというんでしょうかね? とても常人には無理というものですよね~ 他にも細々フル・アコ造っているメーカーはあるんですけどやはりどれも高価なものばかりなんです・・・「納得できる良質なものを出来るだけ安価で」という愛馬のスタンスは唯一のものなので、削り出し単板モデルが多くの人の手にとどく価格帯で提供されているのは非常に魅力的で「美しい」ことだと本当にそう思います。そう思うのは私ばかりじゃないらしくて、「つべ」をみてもアイバニーズのギターを愛する人は世界中にどれほどたくさんいることか! もちろん私のSS500VLSの情報を求めてここに辿り着く人のグーグル上でわかる国籍は英語圏、フランス語圏、ドイツ語圏はいうに及ばず、東欧南欧等の言語とおぼしき人も少数ですがあります(各国のグーグルの画像検索に収録されているということなのか?)。日本のように愛馬のギターが豊富に流通していないのは仕方がないこととしても、愛馬のギターが欲しい人が世界中にたくさんいることは本当に驚きです! アイバニーズのような会社が日本にあって誇らしいとそう思えますね!!
さてSS500VLSのサウンドですが現在季節は乾燥する冬ということもあってか、なかなか良く鳴ってくれます・・・弾いてて気持ち良い、気分を高揚させてくれるサウンドです。懐の深い、奥行きのある響きというのが単板フル・アコの最も素晴らしい点ですが、やはり名前(構造)のとおりアコースティックだな~っということをひしひしと感じますね~! PUとボディの相性もバツグンのようです。今回のサウンドと先月記事のテレのサウンドを比較してもらえば「フル・アコというギターがどんな鳴り方をするのか?」ということが本当に良く理解してもらえると思います・・・どちらが良いということではないのですが、それぞれに独特ということであって根本から違うギターのサウンドということでしょうね。

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機材関係はこういったデモ録音では定番化しつつありますが、ZOOM H4n、VOX ToneLab ST、Mac Book/Win7/SONAR、NI GR Session i/o(モニター)です。ノートPCの低回転(5400rpm)HDDではギター録音時にプチ・ノイズが入ることがありますが(レイテンシーの調整具合にもよる)、今後はZOOM H4nをフル活用してDTM領域の作業でもギターの録音はこれでやろうと思っています・・・音質や使い勝手の検証の結果、非常に信頼性の高いレコーダーだということが実感できたので。ZOOMというメーカーはこういう安価な機材でも非常にしっかりした良いものを造る会社だな~とほんとそう思います! 次のアコギのデモづくりではマイクロフォン録音をまた試していこうと考えています。
曲毎の説明は聴いて貰えばほとんど要らないと思いますがL側にバッキング、R側にソロを収録しています・・・今回ももちろんオーバーダブ、パンチ・イン無しの一発録りです(良くも悪くも)。FXはPCでのマスタリング時にIKのCSR Hallリバーブを使うのみとなっています。なおデモ素材として03にはInsensatez(How Insensitive)を、05にはRalph TownerのJamaica Stopoverを(全然違う曲調だけど)再びモチーフに使わせてもらいました。

次回part4では(たぶん来月・3月にはできるか?)DTM的に他のパートをMIDIで打ち込みしてアンサンブルの中でのこのギターのデモを創作してみたいと思っています。また今月この後の計画ですが、前回の・・・MIDIで課題曲を打ち込みの実践編[part2]と、GUILD12弦&6弦(その他ナイロンも入るかも?)のデモの2記事は何とか実現したいと考えています・・・ あ~ 大変だわ(笑)

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音楽 第4の道へ part1 [動画あり]

音楽を表現する、またコミュニケーションする方法には

①演奏(歌唱も含む、ライブ、口頭・実演伝承等)

②記譜(楽譜による視覚的表現。③が登場する近代までの音楽の主な発表・伝承手段)

③録音(媒体を再生することで常時、鑑賞が可能。演奏の同時性ということを覆し、繰り返し再現可能な芸術にした画期的な手段)

等があります。

②が発達したことによって音楽はより高度な段階に到達したといえると思いますが、これそのものが音楽作品として成立しているのではなく、あくまでそれを演奏して音楽として表現して初めて価値を持つものであることは言うまでもありません。ただし、音楽を解析して正確に再現するためには現在でも必要不可欠なものであることもまた事実ですが。③はこれ自体が作品として成立するものなので、現代音楽でのミュージック・コンクレートなどの手法で芸術として盛んに具現化されてきました。これは今日のDTM、所謂広義でのコンピューター・ミュージックの直接の祖先にあたるものといっても差し支えないでしょう。またそれ以外にも録音芸術という分野がテクノロジーの発達と歩調を合わせて成立することになっていきますが、一例としてピアニストのグレン・グールドのように極度に繊細な感受性の持ち主であるが故に、演奏会での場の空気に左右されての演奏の不確実性が耐えられないものになってしまい、自らの理想の完全芸術を実現するためには録音という手法以外には選択肢はありえないとの結論に至ったことから以後いっさい演奏会活動は行わず録音に専念した演奏家も存在します・・・彼の残した録音中で特にJ.S.バッハの諸作品は彼の境地に辿り着ける演奏家は未来永劫に現れることはないだろうとの孤高の評価を得ています。逆にスタジオでの録音より演奏会形式でのライブ録音を好んだレナード・バーンスタインのような指揮者もいて、全身全霊をこめた指揮ぶりは聴衆があってこそ成立したといえる名録音が数多く残っています。一概に録音芸術といってもその実相は様々であるというわけです。

現在、上記3手法に加えてその全ての要素を一つに内包する第4の手法=MIDIが成立しています。つまりMIDIは演奏であり、データでもあり、尚且つ保存・再現可能な媒体でもあります。今日では普通に楽曲の一部、または全部を構成するものになっているので充分にその芸術性は実証されているものといえるでしょう・・・単に人間の演奏の代理というような単純なものではありません。その一例として映画音楽などの分野では高額な費用をかけてオーケストラを雇って、作曲者の意図を解するほどの余裕もない短時間で等閑な演奏を収録するより、作曲者自身がMIDI音源を打ち込みして作品に仕上げるほうがはるかに優れた作品になる場合があるためそれが主流になっています。これはMIDI音源の非常に高度な表現力の向上が可能にしたことですが、実際の演奏を大変に細かくサンプリングしたものなので(数千音色・音量数におよぶ場合もめずらしくない・・・しかもピアノ単体とかで)、ほとんどの場合実際の演奏か、あるいはMIDI音源かを区別するのは非常に困難なほどのものです。この場合の利点というよりは、そもそも作曲者が演奏者を兼ねるのならそれに越した事はないわけで、MIDIに代理で演奏させているというより、逆にMIDIで演奏しているというほうが正しい表現です(すなわちMIDI=演奏する楽器というレベルを認識しているか否かの違いか?)。現代にJ.S.バッハのような偉大な作曲家であり且つ偉大な演奏家でもあった人が生きているとしたら、たぶんMIDIの存在を狂喜することでしょうし、またそれを最大限に活用して優れた作品を創造することでしょう!


さて今回の本題に参りたいと思いますが、MIDIの原型にあたるものは上記②である楽譜にあるというのは異論のないところだと思います。すなわち人やデジタル機器が音楽作品を再現するためのデータとして利用するのが楽譜やMIDIであるということです・・・ここで私が上記で楽譜は音楽作品そのものではないと書いたことをもう一度思い出してください。その意図は単なるデータにすぎないのでそれを「どんな解釈で音楽作品として再現するか?」が重要なのであって、決してデータに忠実なだけが優れた音楽作品としての再現方法ではないということを意味しています。そもそも楽譜というのは作曲家やその時代によっても記譜法は千差万別なので統一した表記というのは望めないものではあるのですが、演奏者の感性に委ねるために抽象的な文言で指示されてる部分もあったりするので演奏解釈というもの自体も千差万別であるのは至極当然のことではあります。つまりはそれで、演奏者個々の個性というものが発揮されてこそその曲が持つ、秘めた多様な魅力を様々な側面から照らし出すことが可能になるとも言えると思います。それはもしかすると作曲者自身にとっても未知なことである場合があって、それ故に演奏芸術ということが成立しているわけです。

ところがMIDIの場合はどうでしょうか? 当然機械が相手なのでデータのとおりにしか表現しません。人間の感覚が持つ「ゆらぎ」というようなものをそれに表現させるためには、そのようにデータを書き込まないことには機械のほうで勝手に判断して表現してくれることは決してありません。逆に言えば周期性や関連付けといったある程度その個人の人間の経験や本能(人格)に基づく特性を全く無視したような表現をさせるようなことも可能であると言えます。つまりこれは極端に言えば小節ごとに別人格の人間が演奏しているような滅茶苦茶な表現ですが、実際の人間がそういう演奏をするのは極めて困難なことなんです・・・全ての人が持つタイム感の癖というものは必ず周期性があると言えます。いずれにしても学術研究用に楽譜を正確にMIDIで打ち込んだようなものはまずほぼ音楽としては極めて退屈なものである場合がほとんどです。PC標準MIDI音源そのものの音色のチープさがまず第一の原因。それから楽譜どおりの音符の打ち込みでは、名人による歌唱における微妙で繊細な歌いまわしのような魅力を表現することが不可能なのが第二の原因。さらに正確な縦割りのジャストなタイミングでは人間の持つファジーな感覚が表現できず、人間らしさや感情が全く感じられないものになってしまうのが第三の原因です。

以上のようなことを踏まえた上で課題曲を提示して、音楽的なMIDIの打ち込みということを研究・実践してみようというのが今回の企画の趣旨です。


今回課題曲に選んだ曲を紹介していきます。1400年頃~1420年頃までに成立したとされる中世の曲集、通称「モンセラートの朱い本」のなかの1曲「処女なる御母、マリアを称えよ(Mariam matrem virginem)」という曲で、3声ポリフォニーとして書かれた曲です。スペイン・バルセロナ近郊のモンセラート山(その景観からギザギザした山の意)、後にビデオでも登場する数々の奇跡を起こしたとして世界中から信仰・巡礼者を集める「黒い聖母像」で有名なモンセラート修道院に伝承される作者不詳の大変有名な曲集です(古今東西の同様な曲集のなかでも粒よりの名曲ぞろいのため)。礼拝堂献堂の経緯からこの曲集編纂についての経緯など詳細については同じソネ・ブロであるratonlaveurさんのcahier http://lecahier.blog.so-net.ne.jp/2010-07-08 に詳しい記述がされていますが、残念なことに長期間記事の更新がないようで非常に惜しいことだと思いますが、どうぞ記事を参照してみてください。とにかく成立当事以前から大変な年間人数の巡礼者で年中賑やかな土地だったようですが、巡礼者たちが厳粛に振る舞って、且つ歌い踊れるような曲集をという趣旨で編纂されたもののようですが、現存する楽譜は10曲のみとなっています。この曲集の顕著な特徴はイスラム教徒に侵略を受けたカタルーニャ地方の名残が色濃く反映されたもので、アラビア色の強い(哀愁感漂う)旋律や音楽形式が非常に明確な点で、カトリック特有のマリア信仰を反映した歌詞と微妙なコントラストを描くオリエンタルな風情があふれている曲集になっています。

次に課題曲を様々な歌唱、演奏形態で演奏された「ようつべ」ビデオを検索していくつか拾いましたのでここで列挙していきたいと思います。

これまであげた伝統的な(古楽形態の)演奏とは違って斬新な解釈で現代的にこの曲集全曲をアレンジしてMIDIで創り込んだなかなか素晴らしい力作ビデオを見つけたので最後にあげておきます。今回の趣旨になにかヒントを与えるようなそんな独自性に満ちた作品だと感心しました! これは例のサント・ドミンゴ・デ・シロス男子修道院のモサラベ聖歌(=モズアラビック・アラビア風な、グレゴリアン)を現代的なビートにのせてミックスし大ヒットを記録したCD以来の衝撃って感じでしょうか?!

今回の企画に必要なもう一つの重要なものを最後にここに集めておかなければと思います・・・それは課題曲の楽譜ですが、伝承された本にある楽譜は所謂「ネウマ譜」というもので、現在表記の楽譜とはかなり異なる古典楽譜です。その成立はグレゴリアン編纂期にまでさかのぼる古い記譜法ですが、実際にルネッサンス期前まで使われていた非常に長い歴史を持った楽譜です。実際これが発明されていたおかげで現代の私たちが古代に演奏されてたような楽曲を知ることができるわけですね! ここでは曲集の現存する全曲のネウマ譜がファクシミリ版で、またここでは課題曲のネウマ譜を現在記譜法の楽譜に変換した楽譜を参照することができます・・・数人の翻訳譜が登録されていますので、pdfのアイコンやエクスターナル・サイト(外部サイト)のアイコンをクリックし、課題曲名のpdをクリックして入手してください。


それでは次回part2で実際にMIDIで打ち込みする過程を詳述したいと思いますが、それまでに興味がある皆さんは独自の「こんなの自分以外には絶対ありえないだろう」というような超クールなMIDIを考えてみてくださいね!!


タグ:DTM MIDI DAW 古楽
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沈黙

遠藤周作の同名小説で描かれたのは、神の「沈黙」についてでした。

キリスト者(キリスト教信者)である彼の立場から書かれたこの小説は世界(キリスト教世界?)中で広く知られており、20世紀で最も重要なキリスト教文学であるとの評価も聞かれるほどであり、オペラの題材の他、篠田正浩監督による1972年度の映画化が有名であると共に、「タクシードライバー」「最後の誘惑」で有名な監督であるマーティンスコセッシによる映画化が現在進行中で2013年公開予定だそうです。

あらすじはキリスト教禁教下の江戸時代の長崎を舞台に、外国人宣教師(司祭)が自分の司牧する信者が棄教を受け入れたのにもかかわらず、自分が棄教しない為に拷問を受け苦しみ続けていることを知って、自らの信仰を貫きとおすことより、信者への愛を選ぶことによって棄教を決意(自己犠牲)するが、そのことによって真の信仰の意味を悟る過程を描いたものです。彼は何度も神に答えを求めますが、その度神は「沈黙」でもって答えます。この姿はイエスが受難の時を迎える前、ゲツセマネの園にて祈りの時、やはり「沈黙」をもって答える神に対して「悲しみのあまり死ぬほどである」と述べられた姿にだぶります。いやむしろこのイエスの姿が伝えられて以降、キリスト教社会では繰り返し随所で語られることになってきたテーマといったほうが正確でしょうか? 例えばラース・フォン・トリアー監督のカンヌ・グランプリ作品「奇跡の海」では、知恵遅れの主人公の女性の無垢な無償の愛を描いた作品なんですが、彼女は神と会話することができる設定になっています。しかし肉の愛をおぼえた彼女に対してやがて神は「沈黙」するようになってきます・・・これは「どんな道でも自らが正しいと信じた道を行け」という意味か?神の意思に反した行為をとった者に対する仕打ちの意味なのか?どちらの意味での「沈黙」かはわからないことになっていますが、結果彼女は間違った方向?に(愛する者のために)突進して自らの命を落としてしまいます。しかし彼女の犠牲によって愛する恋人は奇跡的に回復し、彼女自身も間違った行為?をしたにもかかわらず神から祝福され救われるという物語になっています。

・・・常に諭し、教えを与え、導いてくださる神が突如として「沈黙」されることの意味・・・ これは何でしょうか? イエスの身にふりかかった想像を絶するような苦しみについて私たちが知っていることは、その時既にイエスご自身も御存知でした。だからこそ何も黙して語らない神に対して哀しみをあらわにされたのだろうと思います。


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黒島教会2.jpg
1999年の暮、私とつれは長崎の地にいました。つれはカトリック信者なので2000年の大聖年を迎えるにあたり、長崎の殉教者の地へ巡礼に行きたいと言うので、九州出身で小さい頃から長崎へは何度も行ってて土地勘もあり、車も実家のが使える私が連れて行くことになったのでした。もちろん私自身は無信仰で実家は禅宗の家系なので全く縁がないのですが(笑)、建築学的な興味は前々からあって、長崎の明治(開国)以降の古い西洋建築(特に教会群)をたずねてまわりたい希望はあったので(古いレンガ造りの教会は国内に17箇所・・・全て九州。内16件が長崎)実現した旅だったのでした。
この旅では平戸、佐世保、外海、長崎とかなりの範囲(小離島、五島列島、島原半島、大村地方等を除く)をまわりましたが、それでも130にも及ぶ教会群のうち有名な30箇所ほどにとどまります。もともと隠れキリシタンが多くいたような場所はへんぴで不便な地方が多いので、当時の中央から逃げ隠れしながら信仰を守った人たちはどれほど大変な思いや苦労をして彼の地に辿り着いたのだろうかと感慨深いものがありました。
最も印象的だったのが写真の「黒島天主堂」(1998年国の重要文化財)で九十九島中最大の離島で佐世保市に属する黒島にあります。相浦港というところから車をおいて船で1時間ほどの10Kmほど離れた島で、周囲約12.5Km、人口約600名で内約8割がカトリックという非常にめずらしい島です。隠れキリシタンが多く住んでいた島としても大変有名です。島の中央部に町の重要な施設が集中しており、学校、役場、中でも教会がひと際目立つ小高い丘の上にそびえている様はまるでヨーロッパの一地方のようです。港で漁業に従事する島民の方々が網を手入れされてる場面に出くわしましたが、いかにもよそ者な私たちにこぼれる様な笑顔で「こんにちは!!」と気さくに声をかけてくださり、また小学生ぐらいの子供たちも同じく「こんにちは!!」と元気良く挨拶してくれるさまをみて「ここでは普段俺たちが知ってるものとは違う時間が流れているみたいだね!」とつれと話したものでした。そしてもっと印象的だったのは岸壁で釣りをしている子供たちが、小魚を釣り上げてはまた海へ投げて返している姿でした。それは遊びとしての釣りではあるものの、まるで魚たちに「罠(誘惑)にかかるとこうして釣り上げられてしまうよ。でもいつでも今日のように逃がしてもらえるとは限らないからね」という教訓を与えているようにみえたのでした。ある意味子供たちが自然に世の摂理というものを理解しているように思わせる感慨深い出来事でした。
私たちは港から歩いて黒島天主堂を訪ねましたが、その間にもめずらしいものを目にしました・・・墓石です。墓地に並ぶ墓石が、普通にある日本の四角い墓石の上に十字架が乗ってる形をしているのです。半ばここは日本じゃないという幻想にとらわれつつあった我々を思いっきり現実に引き戻してくれる形でした。「いやここは、これは日本以外のものであるはずがない」という実に明解なもの。
そうして私たちは黒島天主堂にたどりつきこの素晴らしい教会堂で祈り、心ゆくまで鑑賞して回りました。外観はロマネスク様式ですが、内部は純然たるゴシック様式でヨーロッパの各地に存在する大聖堂と規模は違えど構造は全く同一のものです・・・リブ・ウォールト(こうもり)天井を持つ3層構造建築で、中央の主聖堂に左右の小聖堂がある伝統的な教会建築になっています。また祭壇周辺の床部は有田焼のタイルを敷き詰めた非常に豪華なものになっており、この教会の信者さんたちがどれほどこの教会堂の建築のために血財を払ったかが良くわかるものになっています。機会があったらぜひたずねてみてください。ここで不定期に行われる音楽会はそれはそれは素晴らしいそうです。またクリスマスともなると全信者さんがつめかけるそうなので、入堂できず外でミサにあずかる方も出るそうです。
私たちはこのあと島に唯一ある女子修道会である「お告げのマリア会・黒島修道院」をたずねました。女子修道院とはいっても長崎市内の町の修道院とは違って、お歳を召されたシスターたちがほとんどで、地方のカトリック教会の人材の老齢化が深刻な事態であることを物語るものでした。しかし私たちを慈愛に満ちた温かい笑顔で迎えてくださり、お茶とミカンとかんころ餅(九州の特産品で、サツマイモを練り込んだ餅。カリッと焼き上げた香ばしさとほのかな甘みが美味しい)、また含蓄のある深いお話でもてなしてくださいました・・・「お告げのマリア会」は九州を中心に活動している修道会だそうですが、人材不足なために老齢であるにもかかわらず、九州一円に派遣されるそうでそれはそれは難儀なことのようです。だから旅先でお亡くなりになるシスターもいらっしゃるそうですが、「何処にいても教会は私たちの家と同じだから、イエス様の元へいくのならどこで死んだとしても同じことだから」と・・・彼女たちには公私の区別はないのです。ひとしきりいろいろお話したあと、修道院内にある通常は部外者は入れない礼拝堂に私たちを案内してくださって、私たちの旅の安全をお祈りしてくださいました。それから桟橋まで車で乗せていってあげようといってくださいましたが(4kmほどあるので)、急ぐ旅ではないし、次の船の時間まで2時間ぐらい充分に時間はあるので、ぼちぼち徒歩で向かいます、島の自然を楽しみながらといって申し出を辞退しました。そうして黒島修道院をあとにして港に向かいましたが、その道中で先ほどのシスターが軽ワンボックスを運転して私たちの横を軽くクラクションをならして、手を振ってゆっくり通り過ぎるのに出くわしました。後ろの座席にはもう一人シスターが・・・痴呆症(アルツハイマー病)がでたシスターでした。私たちをもてなしてくれたシスターが礼拝堂に案内してくれた時、奇妙な独り言をブツブツ呟いている言動のおかしいシスターがいるのに気づきましたが、「彼女は痴呆症が出てあのとおりおかしくなってしまったけど、でもあれはあれで幸せなのかもしれないですよ。世の中の苦しみや悲しみをわからないで済むようになったんですから」「あんなふうにしているけど車に乗せてドライブに連れて行くととても嬉しそうに喜ぶんですよ!」と。・・・その車の後ろ姿を見送りながら、涙があとからあとから止め処もなく流れるのにまかせて私は「悲しいからじゃなくて、あんなに嬉しそうな彼女を見ることができたため」と自分に言い聞かせようとしていましたが、どうして神は彼女をあんな救い方をしなければならなかったのだろうか?という思いを断ち切ることはとうとうできませんでした。

神の「沈黙」の意味は私にはわかりませんが、去年の3月11日に起こったことには誰しも「この世に本当に神がいるのなら、この理由を聞きたい」と思ったことでしょう。「どうしてこんなひどいことを、どうして」と・・・しかし「沈黙」する神は何も語ることはありません。

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Fender HH Thinline Tele VS Squier HH Tele [Demoあり]

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今回はHHテレの兄弟対決ということで、早速エントリー・ギターを紹介していきましょう。
写真上はFender (Mex) Classic Series '72 Telecaster Thinline (Nat)、下はSquier Vintage Modified Tele Customです。上は定価で¥136500 下は¥42000・・・3倍以上の値段の差があるんですが、はたしてサウンドにもそれに値する差を確認することができるのでしょうか? 細かい仕様についてはそれぞれのモデルを特集して紹介した以前の記事(モデル名がタイトル)を参照していただきたいですが、ここではポイントを確認しておきましょう!
①同じHHといっても上はフェンダー・ワイドレンジ・ハムバッカーというPUで、あの有名なGibson PAFを設計したセス・ラバーによって同じく設計された'72モデルPUを継承する、由緒あるブランドPUであるのに対して、下はノー・ブランド、メーカー不明でただギブソン・タイプPUであるというだけのPU。②ボディ構造・材の違い・・・上は半空洞のシンライン/ホワイト・アッシュ6pであるのに対して、下は空洞部のないソリッド・ボディ/アガチスp数不明。③上はコントロール部が1V1Tに対して下は2V2T。
結果から率直に言いますと、使う人・使い方によりけりで、「3倍の値段の差は当然」という場合と「値段ほどの差はなく、むしろスクのほうが多様なプレイに対応できて良い」という場合があり得るということがわかりました。後言はある意味予想どおりでした・・・スクのテレはもの凄くコスト・パフォーマンスが優れているので、他社のほぼ10万以下のギターとなら充分勝負になるだろうと思います。特に1PUや、2PUでも1V1Tのモデルより圧倒的にサウンド・バリエーションが広く、またエフェクトを多用するようなプレイ(特に歪み系)なら個性の強いサウンドのPU・ギターよりむしろかかり具合が良く、サウンドが激変することに驚きました。宅録でマルチ・エフェクターやアンプ・シミュレーターを駆使して録音に使うような用途なら最高のパートナーになり得るし、誰もサウンドを聴いて安ギターとは思わないことでしょう! では前言に該当する場合とは?・・・例えばギターからアンプに直結するようなスタイルの場合です。所謂、素の音が全くたちうちできません。重音ならそこそこパワー感もあるんですが(特に低音弦)、単音(特にプレーン弦)ではガクッと貧弱で芯の無いサウンドになります。これはアンプ・シミュレーターでも非常に顕著にわかります(比較すると)。またシンライン・テレは非常に繊細な弦鳴り感(弦が振動してサウンドになってる感じ)があるのが特徴なので、よりアコースティックに近い特性のサウンドですが、こういうサウンドはソリッドで安PU・ギターにはまず出せないので高価なシンライン/PU・ギターを買う価値はそこにあるといえるでしょう。エフェクターを使用しないで美しいアルペジオを響かせたり、暖かく柔らかいしかも太く芯のある単音でソロをとりたいような場合は3倍の値段を出してもフェンダーをおススメしたいと思います!

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機材の紹介とデモの詳細について続けたいと思います。アンプ・シミュレーターはVOX ToneLab ST。以前も書きましたが、クリアでノイズの無いスッキリしたサウンドの標準真空管、エレ・ハモ(ロシア製)から、柔らかく円やかで温か味のあるサウンドのルビー(中国製)に交換してあります・・・ちょっとノイズがのるのが難点ですがその欠点をこえる美点がサウンドにあります! この機種を持ってる人は真空管(12AX7)を替えることで結構サウンドをかえて楽しむことができるのでぜひお試しください。JJ(スロバキア製?)とかも評判良いみたいですよ!! レコーダーはZOOM H4nを4trMTRモードで使いました・・・デモ程度なら充分な高音質ですし、マニュアルが要らないほど操作も簡単で使いやすいのでこういう用途には最高におススメできるハンディ・レコーダーです。高性能コンデンサー・ステレオ・マイクも付いているのでアコースティックの録音や、ライブの録音にも重宝しそうですね! 4トラック・マルチ録音したデータはMac/Win7/Sonarに取り込んで編集(不要部分をカットしてノイズ要因を減らしたり、フェードの設定、PAN・ボリューム設定等)、ミックス、マスタリング(マスタリング・プラグインは下部画像参照)を施してwavでエクスポートしました。その後はこのブログ用にLameコーデックでmp3にコンバートしました(長さにもよるが、3分前後だとほぼ192kbps程度のレート)。
各デモは、左チャンネル側(L50%)にSquier、右チャンネル側(R50%)にFenderとバッキング・ギターは定位を固定してあります(各ギターのソロは中央)・・・したがって各ギターのバッキング音を詳細に比較したい場合はバランスをLRどちらかに絞ることで各ギターのサウンドを聴き取りやすくすることが可能です。基本的に各ギターのVT設定は近くなるように設定してあり、ToneLabの設定もバッキング・ギターでは1曲ごとに各ギターで共通、ソロは各デモで4コーラス分のリピートですが2コーラスづつ共通に設定してあります(各ギター交互に演奏)。ソロの各ギターの登場順番は、デモ01=Fen~Squ~Fen~Squ、02,03=Squ~Fen~Squ~Fenになっています。なおデモ01ではアンプ・シミュレーター機能を通すのみ(スプリング・リバーブのみ)のほぼ素のサウンドになっています。デモ02では空間系のエフェクト・メイン、デモ03では歪み系も使っています。デモ03ではドゥービー・ブラザースのヒット曲、ロング・トレイン・ランニングのバッキング・ギターをモチーフに使用しております。
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最近の推奨「つべ」 vol1 [動画あり]

タイトルどおり、今回は最近ハマッてて良く観聴きしている「ようつべ」動画ブックマークからビデオをリンクしてみたいと思います! 基本的に著作権・肖像権関係の問題もあるので、これまで積極的に自分のブログで取り上げることには躊躇してきましたが、「ようつべ」上に一定期間以上登録されているビデオについては、権利者各位から容認されているものと見なしても問題ないだろうとの判断で(当然、権利者に敬意を払って登録されているもの以外はここでリンクするつもりはないので)、今回からちょくちょくお奨めのものを取り上げていきたいと思っています。


まず最初はこれまでにも度々、多大な音楽的影響を受けてきたことを書いてきた、敬愛して止まないギタリスト、ラルフ・タウナー/Ralph Townerを取り上げてみたいと思います・・・ギタリストとしてはこの方、音楽家(作曲家)としてならパット・メセニー/Pat Methenyと即答するだろううちの一人です。ナイロン・ストリングスの素晴らしさに目覚めたのも彼の影響が大きいですが、最近ではずっと12弦スティール・アコースティック・ギターが欲しくてたまらなくて、彼のビデオを良く検索しては観ていました。ギルドの素晴らしいサウンドの12弦ギターをずっと使い続けているギタリストです。


昨年末から前回にかけて、偶然の経緯でGUILDの素晴らしい12弦アコースティック・ギターと巡りあってそれを非常に気に入って手に入れてきたことを書いてきましたが、それがギルドの12弦という以外、ほとんど何の予備知識もなくただ試奏して音の良さに惹かれたことが購入の決め手になったことは結果的に私にとって良かったことでした・・・サウンド以外の情報は時として余計な偏見を持ってその楽器をみてしまう原因にもなりうる、ただの害悪であることもままあります。例えば「USAフェンダーはそれ以外の製造国のフェンダーより値段が高いのだから、当然音も良くて優れている」といったような固定観念・先入観からくる無意味な価値観ですが、そういう価値観を持って試奏してもたぶん正しい判断はくだせないことでしょう。しかし、自分の判断が正しかったのかどうか、他の人の意見も調べてみないとただの自信過剰なのも悲しいので(笑)、デモをアップして反応を待ったり、製品についてウェブで調べたりしてみたわけなんですけど。まあこのGADシリーズは中国製にしては一般的に非常に評価が高いことがわかりました・・・安い割りに造りや材料が良く、サウンドも上々なので欲しい、あるいは持ってるけどお奨めしたいという人が結構多いです。そうして私も間違った選択ではなかったことが徐々にわかってきてなんかうれしい気持ちです。

次のビデオはギルドの12弦ギターで検索してるうちに偶然みつけたものですが、さすがに12弦ギターの名門・ギルドを使ってるギタリストは(有名・無名は問わず)非常に多く、大変な数のビデオがあり、その中でとても印象にのこったギタリストがJames Blackshawでした。彼は1981年生まれのイギリスのギタリストで、若いのにすでに9枚ものアルバムを出している大変なキャリアの持ち主で、来日経験も一度あるみたいです(東京の某ライブ・ハウスでのギグで)。去年3月中旬にメジャー移籍後2枚目のプロモーションを兼ねた来日の予定だったみたいですが、例の東日本大震災のためにやむなくキャンセルになってしまったようです。若い頃はパンクに傾倒した時期もあったそうですが、12弦によるソロ・ギターは音楽性も技術も素晴らしく、素晴らしい才能を感じさせます。一言ではジャンルを言い表せない音楽性ですが、ポスト・クラシカル、ミニマリズム、フォーク、ワールド・ミュージックなど幅広いバックボーンをもっているようです。エオリアン・ハープのように繰り返されるトラッド調の分散和音の中から哀愁に満ちた旋律が仄かに浮かび上がってきて、一度聴くと忘れられないような魅力を持っています。因みに彼が使っているのはGUILD GAD-212ですが、その素晴らしいサウンドをお楽しみください。

 

次は、James Blackshawの曲のカバーを弾いてる(たぶん)アマチュアのギタリストの演奏ですが、この人も影響を受けてなのかGAD-212を使っているようです。録画(録音レベル?)状態があまりよくないみたいですが、ギターはやはりなかなか良いサウンドです。こういう曲種は人によって好き嫌いが分かれてしまうかも?ですが、私は結構こういうジャンルは好きなんです。

 

Pantaleimonというヨーロッパでは割と有名らしい女性アーティストとJames Blackshawのコラボレーションです・・・とはいっても(たぶん)その辺の公園あたりでのストリート・パフォーマンスまがいの演奏みたいですが(笑) なんかひなびた哀愁たっぷりのボーカルもたまらない感じです。これはオリジナルなんでしょうか?それともどこかの国のトラッド・フォークなんでしょうか?本当に良い味出てると思いませんか?


最後はギター音楽とは関係ないですが、フランスの非常に高名なストリート・ミュージシャン、とはいってもちゃんと何枚もCDを出してるプロの音楽家なんですけど、Luc Arbogastのパフォーマンスを取り上げます。彼が何でそんなに有名かというと、髭面のいかつい系で筋肉隆々の男臭い風貌とは裏腹に、女声のアルトの音域で可憐に歌唱する裏声テナー=カウンター・テナー(一時期映画「カストラート」で流行ったけど、所謂去勢アルトではなくあくまで裏声でのアルト)の名手だからですが、ここでの演奏は教会でコーラス隊と共にフランス・ルネッサンス期の大作曲家であるジョスカン・デ・プレの作品(?もしくは作曲者名じゃなくて、コーラス隊の名称がそうかも?)を演奏する大変厳粛で感動的な動画作品になっています。私はクラシック音楽も非常に好きなことは以前度々ふれてきましたが、こういうバロック以前の古楽や中世の音楽(作者不詳のものも多い)、キリスト教イスラム教文化が混在するような宗教曲から民族色が強い世俗曲まで、また職業音楽家としてはほとんど最古じゃないかと思うヒルデガルト・フォン・ビンゲンのような初期ポリフォニー宗教声楽曲の作曲家からそれ以前のグレゴリオ聖歌に至るまで、西洋音楽の源流を辿るうちに行き着いて聴くようになった音楽はたくさんあります・・・ただこのブログでは音楽を聴くことよりもプレイすることがメインになっていますので、あまりこういう話題で書くことはほとんど無いわけですが、しかし今回のようなテーマで好きな音楽を紹介するような機会には、今後も折に触れてこういうプレイする音楽とは関連がないようなものでも幅広く取り上げていきたいと考えています。

Luc Arbogastの関連動画は「つべ」にはたくさんあるんで、興味がわいた方は検索してみてください。彼の音楽スタイルはあまりアカデミックなものとは関係ない土着宗教的、民族的で世俗的なものであり、非常に素朴でひたしみやすいので気楽に気軽に楽しんで聴くことができると思います!


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GUILD GAD-F212

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昨年末に2回にわたって仕様とデモを記事にしたGuild GAD-212 12弦アコギでしたが、山野楽器アウトレット(ちょいキズ特価)品ということで定価の半額以下で、また偶然見つけて入手した経緯については前回記事で書きましたが、アウトレット品であるのにはもう一つ、生産終了品であることが理由でした・・・GADシリーズ(中国製)はラインナップ・モデル名が一新されたことがフェンダーUSAのギルドのウェブ・ページでわかります。新しいモデルは、12弦ギターはスプルース/ローズウッドのジャンボボディとオール・マホガニー(トップもマホ)のドレッドノート・ボディの2種に変更されたようです。これはよりUSAに近い、ギルドらしいラインナップへの昇格をめざしたものにみえますが、細かい点ではコスト・ダウンもはかられているようです(チューニング・ペグがグローバー/USAからノー・ブランド/たぶん中国製に変更されていたり等)。もちろん改悪とまでは思われませんが、やっぱりアコギは弾いてみるまでは良し悪しの判断は絶対できません。そこでGAD-212があまりにも出来の良いギターだったので、現在他に手に入る旧モデル(アウトレット品)はないか(6弦も含めて)探してみましたが、GAD-212を手に入れたイケベ・アキバの系列店であるイケベ・シブヤにやはり212とF212他計3本があることをウェブで見つけて試奏に行くことにしたのです。
とりあえず212を試してみましたが、正直私が買ったものとあまりにも違って音がイマイチなのに驚きました!・・・開放弦で弾いた音色音質と押弦したときの音色音質がかなり違うんです。開放弦の場合はコモった感じも無くよく響きますが、押弦した場合(特に5フレット以上で)微妙にコモってしまうんです。響きに詰りが起こるといったらわかりやすいでしょうか? これは特に巻弦(3~6弦)に顕著で、12弦であっても明らかに異質な鳴りに程無く気づいてしまいました。当然各弦に同じ現象が起こっているので、これは弦が古い・悪いせいではなく何かギターに問題があることは明らかでした。同じギターでこれほど個体差があるとは少々ショックでしたが、アコースティック・ギターとはやっぱりこんなもんなんですよ・・・例えば同じ新品D-28が数本あるとしても中には鳴らない、鳴りがおかしいものがあったりするのは量産半手工ギター(ほぼ60万以下の)では当たり前のことだったりします。だからこそマーティンとかギブソンをネット・ショップで買うなんてことはとんでもないことなんです・・・賭け以外の何ものでもありません。数十万払ってクソ・ギタ・キター!なんて!!ショックでしょうが(笑) マーティン・ギブソン・クラスをブランド・イメージで全て良品だろうなんて勘違いはしないことです・・・試奏して確かめるまでは信用しないほうが賢明ですね。たぶんアタリハズレが少ないのは個人製作家(いわゆるルシアー)の完全手工80万~のギターのみで、コリングスやサンタクルーズ(60万~)のでさえ試奏しないで買うのはリスクだと思います。
もう1本のF212ですがこちらは私の212ほどではないですが、結構良いギターでした。4弦主弦のほうが少し詰まり感が(開放弦でも)ありましたが、これは弦が寿命なためだとすぐわかりました。これも12弦ギターとしてはもちろん、6弦ギターとしても全然問題なく使えるクオリティーなので(クラシック・ギターに慣れているんで、幅が広い指板のほうが私は弾きやすい)こちらは6弦メインで使っていこうと思っています・・・それで、212は12弦専用として使うことができます。何といっても6弦・12弦の張り替えはかなり面倒くさい作業なんでね~! F212の仕様なんですが、なぜだか微妙に同グレードの212と違っているんですが、何の意味があってなのか私にもよくわからないんですが・・・(笑) トップ材はシトカ・スプルース単板、サイド・バックはマホガニー単板で(ローズウッドよりも)柔らかめで広がり感のあるサウンドは同じです(ただしローズほどの音の力感は無い)。ボディ・スタイルはギルドのグランド・オーケストラ・モデル・サイズでいわゆるスモール・ジャンボ・クラスでしょうか? ボディのくびれが大きく、サウンド・ホール周辺の容積は小さいですが、ボディ最大幅は16インチと結構大きく、ドレッドノートと同じほどの(厚みも)後方容積を持っています。サウンドは212よりもっとフィンガー・ピッキング向きの感じです(強くカッティングするとサウンドが暴れ気味になる)。最も違うのはネックで、マホガニー・ワンピースの212に対してF212はマホ+メイプル+マホの3ピース、ヘッドは5ピースです(強度を高めるためなら212も同じ仕様にするはず?仕様統一したほうが製作効率も良いのになぜ?中国製は理解不能・意味不明?てかギルド自体が変なコダワリがある会社だからかも?)。あとポジション・マークも212はスノウ・フレークス&キャッツ・アイですが、F212はただの小さめなドット・ポジション・マークで地味です(だからなんで統一しないの?違うことに何の意味があるというの?笑)。たぶん212はドレッドノート・ボディでマーティンのパロディになってるからスノフレ・キャッツアイだけど、ワンピース・ネックでちょっと差をつけておかないと気がすまない的な(笑)。F212はネック構成そのものはギブソンのパロディだけど、あんな下品なギラギラした四角いポジション・マークはダサいんで、普通の地味なのにしてセンスが極ノーマルだと言いたい(ギブソンは悪趣味か?笑) とせいぜいこんな程度で深い意味はないかも?ですよね(笑) さらにネック構成が違うので、当然ヒールの形状も違います。その他は共通の仕様なんで212の記事を参照していただきたいですが、書きもれの点が2点ほどあったので、ここで追記しておきます・・・塗装は全然高級じゃない普通のポリ・ウレタン塗装ですが、弦止めブリッジ・ピンは何と漆黒の本黒檀(エボニー)削り出しで白蝶貝入りです! どうしてこんなどうでもいいとこにこだわるのか、やはり意味不明ですが(笑) しかもアンバランスだし・・・中国製って謎、てかそもそもなんでギルドが中国製なの?(爆)

いろいろ書いてきましたがホントはスゴ~く気に入ってる中国ギルドなんですけど(笑) 次々回ではこの6弦F212と12弦212の豪華な組み合わせでデモってみたいと思っておりまする~ その後はいよいよアイバニーズのフル・アコ、エレクトリック編が控えていますんですが、ゆくゆくは6弦、12弦、バリトン、ナイロン、テレ、フル・アコなんて基地外沙汰なのもやってみたいですね~ぃw!!

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